寂しい自由か、面倒な幸せか
独身のとき、寂しかった。
ーなんで私はひとりなんだろう?
家族はいる。友達はいる。
でも、そうじゃない。
本当に私のことを見てくれる人。
本当に私を受け入れてくれる人。
どうやったら手に入れられるんだろう?
そういう人がいたら、私は幸せなのに。
でも、独身のとき、私は自由だった。
友達に旅行に行こうと誘われれば、日程さえ合わせたらどこにでも行けた。
ちょっと外食してくる。服買おう。アクセサリー選ぼう。美容院でパーマかけよう。なんでもしてよかった。
恋愛だって気の向くまま。
LINEが楽しくなきゃ既読スルー、デートがおもしろくなきゃ次の人、街コンも相席居酒屋も行き放題。
でも、やっぱり心は孤独だったなー。
誰も私のことを見てくれないじゃんって。
・・・・
夫に出会ったとき、私は疲れていた。
孤独だし、仕事もうまくいかないし、婚活してもいい人は現れないし。
もうこの人にも誰にも愛想も振りまけないや。
でもいいや、別にこの人タイプじゃないから、本音で話しても。
向こうも私のことを別に落とそうとかそういう感じじゃなかった。多分私のことをタイプじゃないんだろうな。みんなに対等な接し方にも見える。
どうでもいい存在だったけど、本音で話せるのが楽だった。楽しかった。
交際を申し込まれたとき、私はもう恋愛感情なんて多分なくて、その先の結婚をイメージしてた。
この人なのかな。うん、付き合おうって返す言葉に覚悟が要った。
とんとん拍子で結婚して、あっという間に数年経って、私のメンタルは安定している。
寂しいとはもう感じない。平和だと思う。
そこに現れる別の感情。
ーあぁ、なんて面倒なんだろう。
いつもどこかで気を遣ってる。
言い方。タイミング。毎食のごはん。
別にモラハラでもDVでもない。
でも、元他人、だったから。
それだけでまだまだ気を遣う対象になる。
独身の頃は、自由だったなぁ、気楽だったなぁ…。
やっぱりそう思ってしまう。
・・・・
その上で考えることは、すべてを手に入れるってことは無理。完全に満たされるってことは無理。どの状況にも一長一短がある。ってこと。
私は、独身に戻りたいとは思わない。
それは、私自身が、寂しい自由よりも面倒な幸せを必要とする人間だから。
私が今よりももっと、自由気ままに人生を謳歌することが好きな人だったら、私は独身に戻ってしまうかもしれない。
結局、私がどういう人間なのか、なんだよね。
家族連れの中に私ひとりでいると、やけに寂しくなるし、いたたまれなくなるし。それを「まっ私は私の人生を好きに歩こう」って割り切れないから、私はひとりで生きられないんだなって感じる。
夫に心の中で悪態をついてばかりいたら申し訳ないね。ありがとうだね。