うらやましかった言葉
「こいつは、昔っから全然変わってないんだよ。」
職場である人が言った。
どうやら保育園からの付き合いらしい。
男性同士でも、今ではタイプも違えば気の合う友人も異なるふたり。そんな二人に濃い接点があるとは知らず驚いた。
幼少から一緒に過ごしてきて、相手の性格や得意不得意を知り尽くしている。
どこがどう変化したのか、変わっていないのか、よくわかるのだろう。
昔っから、変わってないんだよ。
その言葉が妙に脳内に響いた。
言われたほうのなんとも言えない嬉しそうな表情も…。
きっと、うらやましいんだろうな。わたし。
どちらかといえば転勤族で、小学校も中学校も複数通った。上の兄弟は高校も複数通っている。
わたしはそんな環境の中で、定住することの恐れや、人と深く関わることを億劫に感じるようになってしまったように思う。
誰かに、知ってもらいたいのに、深く知られる恐怖。
誰かに、全然変わってないよな、って、いいところも弱点も知られていて、受け入れられている。
なんだかちょっと、うらやましく思っているわたしがいる。
